岡本板金ブログ

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『天地明察』レビュー

 久しぶりの更新です。
 かなり前のことになりますが、冲方丁さんの『天地明察(文庫版 上・下)』を読みました。本屋大賞を受賞しただけあって、上下巻文庫2冊分を一気に読み終えるさすがの面白さでした。
 元々、冲方丁さんのことは『マルドゥック・スクランブル』を読んで大ファンになって以来、SF作品をいくつか読ませてもらってますが、『天地明察』は過去のSF作品とは少し趣の異なる歴史モノということで、どんな作品なのか興味を持って読ませて頂きました。
 さすが冲方、旧来のSF作品に見られる独特の英語感覚のルビなどを封印して歴史物を真っ正面から書いても、テンポと歯切れの良いストーリーを展開できる筆力を証明したな、という感じの佳作でした。
 ただ、後半部分(下巻の半ば以降)が少し駆け足すぎる感はありました。主人公が歳を取ってからの出来事をもう少し丁寧に細かく書いたほうが、より深みのある物語になったのではないかと感じました。

 この本読むと、天文とか数学とか、もう一度じっくりとやり直したくなりますね。