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『腕貫探偵残業中』レビュー

 『腕貫探偵残業中』を読みました。
 西澤保彦さんは私の一番好きな作家で、かなりの著作を読破してます。
 少し前に読んだ、シリーズ前作の『腕貫探偵』がずいぶんと面白かったので、今回の作品も楽しみにして読み始めましたが、前作とは少し趣向が変わっていて、多少肩すかしを喰った印象を持ちながら読み進めました。もちろんそれは、読む側が勝手に想像していた設定と少し違うというだけの話で、作品自体は大変面白く読みました。
 いきなり第一話の「体験の後」からエンジン全開で、やっぱ西澤さんの小説は自分に合うというか、しっくり来るなあと感じ入りながら、最後まで一気に読了。ユリエと真緒のコンビは、タカチとウサコのコンビを彷彿とさせてニヤリとするし、食事や料理の場面は相変わらず旨そうでよだれが出るし、「腕貫」さんの人間的な面も少し見えてきて、面白い続編になったなと思いますが、1作目の、公務員然として淡々と相談に乗る不思議な設定が、あまりにもしっくりと決まっていただけに、インパクトの面では前作のほうに軍配が上がる気がしました。